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【水炎短文】なにこれ、どういうこと?もう四月下旬ってやつ?

どういうことなのだ・・・何も手に付かないうちに凄い時間だけが経っている・・・経っている!!

とりあえず、移動時間に作業ができないという悲劇的状況を、本日をもって解消しました。家庭内ローンを組んで(笑)、Macを新調しました。結局、バッテリー交換ではなくて、新品買いました。
先週くらいからデータ移行で少しトラブル出てみたりしつつ、完全移行が終わったのが本日。ちなみに、今日は会社休んでます。(仕事は今もしてるけど)

仕事、全然終わらないんですよね〜。今日が〆切の書類とか画像資料とか、いっぱいありまくるのですが・・・もうなんか「ぱぁん!」って感じに全部終われたらいいのになっていう、暗い考えに取り憑かれています。笑

移動時間に原稿が出来ないので、ネット徘徊して、炎様を補給しています。ボカロはずっとネット見てないけど、きっと色々時代は移り変わっていってるんだろうなー。昨日も、ポチポチとボカロの原稿を打ったりしてました。(ザウルスで)

早く萌え萌えしたこの気持ちを持て余しているこの状態から抜け出したいのですが・・・

以下、水炎(?)の短文です。アフリカ出張だよ。なんか色々大変だったみたいだよ。笑

続き

轟々と、ジープで埃を巻き上げながら進む。細かく、軽い赤茶けた砂埃は、バンダナを巻いていても気管を後で洗浄しなければならないほど。
雲に隠れ、直射日光が差していないのが、救いと言えば救いか。
ジープはゆっくりと傾斜を下って行く。いや、違う。メーターを確認すれば、結構なスピードが出ている。だが、この、余りにも雄大な景色の中で、豆粒のような私たちが、どれだけのスピードで進もうと、ゆっくりとしか見えないだけだ。
見渡す限り、ただ、赤土が・・・所々、頼りなげな背の低い樹木の林が点在して・・・広がっていた。雨期には流れていたであろう川の位置には、今は点々と水溜まり(というには大きすぎるか)が残っているだけだ。

隣で運転している男は、サングラスをしており、私と同じようにバンダナで顔の半分を隠しているせいで、チラリと視線をやったところで、表情など分からない。

長かった出張の終わり。それもこの組み合わせで。
だから、ただ、私たちは疲れていた。
こんな状況であれば、反りの合わない相手であっても、隠れている表情を推測するのは容易い。そう、おそらく私と同じ、無表情・・・。
私も、帽子を飛ばないように押さえているのも、面倒に感じるほどに、疲れていた。
もういっそ取ってしまおうか・・・。どうせ髪も顔も砂だらけで、これ以上汚れる等ということもあるまい。まして、太陽も出ていないのだし・・・。

「おい。」
不意に、隣の男が、何時間ぶりか、発声し、私の下らぬ思考を遮った。
ハンドルを片手で操作し、片腕を伸ばし、中空を指差している。気怠さを感じつつも、指先を追うように視線を動かす。
「あ。」
と、私は間抜けな声を出した。

ひらり、と優雅に舞い降りる、一羽のフラミンゴ。
そして、ひらり、ひらり、と更に二羽続いた。
タイミングを合わせるように、すぅ、と雲に隠れていた夕日が、突然世界を、痛い程に照らし出す。
光。神々しいまでの、夕日の煌めき。
それが、フラミンゴが降り立った水面を照らしていた。
よく見れば、無数のフラミンゴが、その黄金の水溜まりに集まっていた。細い足、長い首で、優雅に休むフラミンゴの群れ。風とフラミンゴによって作り出される不規則な光の戯れ。
時折広げられる、ほの赤い翼。

私は、ジープの窓枠にかじりつくようにして、その光景に見入った。

「オスカー。」
呼ぶ声は何故か震えていて、ジープの走行音にかき消されて、きっとオスカーには届かない。
「来て、良かった、です。」
続けた言葉はもっと水っぽい音となった。目の前の光景が何故か滲んで、ただの混濁した色彩になっていく。だが、それすらも、美しく。
「う、ぁ、ぁ・・・・。」
窓枠に掛けていた両手のうち、左手を剥がして私は目頭に指先をあてた。後から後から、熱い何かが沸き上ってきて、理由の付けられない涙が、止めどなく流れ出て行く。
「使え。」
膝の上に、放り投げられたバンダナは、オスカーがたった今までフェイスマスクとして使っていたものだ。
この砂埃の中、バンダナ無しで息をするのは辛いだろうにとは思ったが、遠慮なく私はそれを使った。使ってから、当然のごとく、バンダナが埃まみれなことに気づく。
運転席のオスカーが、ちらりとこちらを見やって、一瞬、戸惑ったような奇妙な表情を見せた後、
「ふ、ククッ・・・。は、ハハッ・・・!!」
吹き出すようにして笑い出し、その後は、もう言葉も無く、ただ、大笑いしながら腹筋と戦っていた。私は、余計に酷くなるのだろうとは思いながら、もう一度顔を拭う。
笑いが止まらないオスカーに呆れつつ、視線を窓の外、黄金の水溜まりに戻そうとして、いつの間にかまた太陽が雲間に隠れてしまったことに気づく。
あの黄金はどこかへと消えてしまっていた。

目を凝らせば、フラミンゴの群れは、まだ水浴びをしているのかもしれないが、私の視力では、既にその様子を確認できない。

私は先ほどの光景を、オスカーの馬鹿笑いにのせて、思い出していた。
疲れは、赤茶けた砂埃と一瞬の黄金の煌めきに溶け、終わりがないようにすら思えたこの出張が、もう帰路にさしかかっているのだという実感だけが、私の胸でただ、暖かく広がっていた。