「あけまして、おめでとうございます!」
神鳥の宇宙、聖殿の大広間…各守護聖の補佐官たちや侍女たちが新年のお祝いにと飾り付けたパーティー会場に、守護聖たち皆の笑顔が華やいでいた。
神鳥の女王アンジェリークと補佐官ロザリアはもちろん…何度も宇宙の危機を乗り越えてその度に仲を深めていった聖獣の女王アンジェリークと補佐官レイチェルを招待し、手作りの料理と共に皆と喜びを分かち合っていた。
「そういえば、オスカーの誕生日の頃は一番慌ただしかったから…キチンとお祝いもしていなかったわよね?
一緒で悪いけど、バースデーパーティーも兼ねましょう☆」
2人のアンジェリークの一言は前以て皆にも伝わっていたのか、そこからはオスカーの誕生日パーティーにもなって、場はいっそう華やかなモノとなった。
名残惜しげに聖獣の女王たちが帰って少し経った頃、オスカーは執務で聖獣の宇宙に行く事になった。
執務を終えて女王たちに礼を述べたオスカーは、そういえば…とエルンストの執務室に足を向けた。
聖獣の宇宙がまだ卵だった頃、協力者として女王試験に関わったエルンストは…縁あって今は鋼の守護聖として聖獣の宇宙に関わり、補佐官レイチェルの恋人でもあった。
執務室のドアを軽くノックして開けば、生真面目な視線を書類に落としたいつもと変わらぬエルンストの姿があった。
「よぉ、エルンスト。変わりはないか?」
「あぁ、これはオスカー様。聖獣の宇宙へようこそ」
今日は執務で?と微かに微笑み、視線を上げたエルンストに少しいたずらな笑みを返したオスカーは
「そういえば、お前の誕生日も俺と近かったよな?…新年の祝いと共に盛大なバースデーパーティーを開いていただいたから、お前も来れば良かったのに…」
レイチェルも一緒で、楽しかったぜ?とエルンストを見れば、穏やかな微笑みは1ミリも崩れず
「いえ、私は華やかな場は苦手なので…誕生日はレイチェルが祝ってくれましたから、それで…」
と、サッと頬を赤らめて答えた。
一見ロボット風のこの真面目男のノロケは案外長い事を知っているオスカーは、早々に退散するのが正解だと苦笑して帰っていった。
End.